朧咲夜ー番外篇ー【完】


「咲桜、やめさなさい。そんな恰好で」


「え? うわっ!」
 

……嫁に『うわっ』て言われた。


そこに傷付きながらも流夜は、頼に絞め技をかけようとする咲桜を後ろから捕縛した。


「咲桜、頼。場所を考えろ。遙音も、式場まで聞こえて来たぞ?」


「う……悪い……」


遙音が申し訳なさそうな顔をした。


……もっとそういうカオをすべき二人がいるんだが。


「咲桜も。頼には自由に撮らせるって前提でカメラ持たせたんだろ? 少しは退け」


「くっ……」
 

咲桜が痛みでもこらえるような顔をする。


(こーいうところが『日義の飼い主』なんだろうな……)
 

咲桜のことをずっと見て来たけど、頼への態度だけは変わらない。


自分の知らないうちに頼から告白もされたらしいが、友人関係に少しも影響が見られない。


それもどうかと思う流夜だ。

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