朧咲夜ー番外篇ー【完】
20 幸せ
笑満と遙音の賑やかな結婚式が終わって、今日はいつもより遅い時間だが、咲桜と流夜は自宅のリビングのソファでくつろいでいた。
咲桜を抱きかかえるように座るのが二人の定番だ。
来客のときも流夜はこうしようとするので、さすがにそれは咲桜が止めている。
「ねえ、流夜くん?」
「ん?」
身をよじって流夜を振り返った咲桜は、すぐに身体を戻した。
「なんでもない」
「俺に言えないことでも?」
少し不機嫌に聞こえる流夜の声。
そのまま、後ろから強く抱きすくめられる。
「言えないなら、言わせるけど?」
「言うっ、言いますっ」
……流夜に実力行使に出られたら、咲桜は勝ち目がないことがわかってきた。
「で?」
「えーとね……」
咲桜はまた身をよじって、流夜と視線を絡ませた。
「生きてるの、楽しいなあって思った」