朧咲夜ー番外篇ー【完】
実のとこ、在義とは逢っていた。
話すことは先送りにした、神宮家の事件のことでも。
「戸籍上は縁がなくても、本当に美流子さんと姉弟じゃなくても、私と流夜くんの間にあったもの、受け容れるためとか、拒絶するためとか、そういうのを流夜くんに寄りかかって昇華しちゃダメなんだって。……一人で対決して、どうするか決めないと、て」
「………ああ」
必要な二年だった。
「……なににやけてんですか」
「ん? 久しぶりの咲桜が嬉しいなーと」
「………、っ」
「なあ、よく見せて?」
両頬を手で包み込むようにして上向かせられた。
二年前と変わらない距離と眼差し。
ずっと、ここにいたかった。
「んっ」
咲桜の指先が流夜の袖を握る。