朧咲夜ー番外篇ー【完】
「…………」
「咲桜?」
反応がない。
ちょうど信号で停車したので、顔を覗き込む。真赤になって固まっていた。
「おい?」
顔の前で手を振ると、はっとしたように流夜の方を見た。
「うおう! ごめんなさいっ!」
「元気そうだな。大丈夫か? やっぱりもう少し余裕持った方が――
「あああの! そういうわけじゃなくて! ……なんてゆうかですね……その、感動? しちゃって……」
「は?」
「だってですよ! 流夜くんの方からすれば『自分から逢いに行ける』だったかもだけど、『私から逢いに行く』方法はなかったんだよ?
それが急に帰って来て、すぐに結婚まで話が繋がって……き、昨日の感動の続きが今来た……」
ボロ泣きしたあれか。