朧咲夜ー番外篇ー【完】
「いらっしゃいませ。初めまして」
「は、初めまして! よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願い致します。私、高千穂(たかちほ)と申します」
高千穂は綺麗な動作で頭を下げた
「取りあえず、店内見せてもらうか?」
「あ、うん。でも私、こういうの全然わからなくて……」
宝飾品には興味なく来たので、持っているアクセサリーも流夜からもらったものだけだ。
「気に入っていただけたものでよろしいのですよ。結婚指輪はこちらにございますので、どうぞご覧ください」
高千穂にショーケースの一角に招かれた。
「……あ、あまりにキラキラしくて気圧されそうです……」
「大丈夫ですよ。実は一つ、おすすめしたいものがあるんです」
「ほんとですか?」
サンプルでもあるのだったら嬉しい。
本当に眩しすぎて全然わからなかったから。
そっと、高千穂が声をひそめてきた。
「実はそちらの指輪、結婚指輪と対になった婚約指輪なんです」