朧咲夜ー番外篇ー【完】
拙い応え方しかできない。触れれば戻れないことなんて、容易にわかるだろうが――
キスが止まなくなる。
ずっとほしかった。
ずっとこうしてほしかった。
ずっと腕の中に置きたい。
ずっと抱きしめていてほしい。
ずっと―――
いつの間にか咲桜の背中がソファの座面についている。――と、何故か流夜から仰天したような声があがった。
「咲桜⁉ どうした⁉ ――じゃない! ごめん! その……泣くほど嫌だったら、そう言っていいから。怒らないから……」
「え?」
涙をぼろぼろ流す咲桜からは気の抜けた声。
「泣いてなんか……わあ! ごめん! どうした私⁉」
咲桜も驚いた。大号泣というレベルの涙に気づいていなかった。