朧咲夜ー番外篇ー【完】
「じゃ、決まりな。不動産屋の方とは前に連絡してあるから――」
「あ、あの! でも!」
「うん?」
「その、おうちってすごいお高い、買い物? だよ? そんなすぐ決めちゃっていいの?」
「すぐじゃない」
流夜の瞼が一度閉じられた。
「ずっと、考えていたことだ。咲桜と一緒にいるためのこと」
「―――」
やっぱり、なんでいつも流夜には負けてばかりだ。
「あ、ありがとございます……」
「うん」
「あ、と……そうだ! 夜々さんと父さんが結婚するんだから、夜々さんが流夜くんのお母さんになるんだよね?」
「え………」
それまで超爽やかでカッコよかったのに、流夜の表情が一気に翳った。