朧咲夜ー番外篇ー【完】
咲桜は、これ好機と自分の話に持って行く。
今日はずっと流夜ペースで悔しかったのだ。
「だったらさ、『朝間先生』って呼ぶのは余所余所しくない?」
「あの人には近づきたくないんだが……」
……本当にここ、天敵だね。
「そう言わずに。『夜々子母さん』って呼んでみない?」
「断る。なんか嫌だ」
「ええ~。せっかくのお母さんなのに……」
「咲桜の母親とは認めるけど、俺のことは迫害しかしないぞ、あの人は」
「それは色々不安定な関係だったからじゃないの? 前は教師と生徒だったし」
「……それはあの人には関係ないと思う」
流夜が鬱な様子でぽつりと言った。
「う~ん? じゃあ、『夜々子さん』?」
「……譲歩してそのくらいだな」
「がんばって」
「……あんまりがんばりたくないな」
夜々子の件では、本当に逃げ腰だなあ。