朧咲夜ー番外篇ー【完】
流夜に、女好きとか評されていることは知っている。
別に可愛いもんを可愛いと言って何がわるいか。
すきなのは一人だけだし。
「そういうわけじゃなくて……斎月くんのことをそんな風に言って生きているのは咲桜ぐらいのもんだよ……」
なんかぼそぼそ呟いている。
「ああ、主咲くんが怒るとかそういう心配?」
「いや……怒るのは主咲くんというか、その周りというか……」
まだごちゃごちゃ言っている。ほんとどうしたかね。
「今日休みだから、チョコ渡しに笑満とか頼に逢ってくるね。この後夜々さん来るって言うから、それだけは迎えてあげてねー」
「夜々ちゃん? 咲桜に逢いにじゃないのか?」
「……今日は何の日ですか?」
咲桜が返すと、在義はバツが悪そうな顔をした。
さーて、私は出がけに夜々さんと箏子師匠にはチョコを渡して行こー。
お隣のインターホンを押すと出て来たのは緊張した面持ちの夜々子で、咲桜は取りあえずぎゅーっと抱き付いた。
夜々さん、いつにも増して可愛い!
箏子の分も渡してから、笑満と頼と約束している《白》へ向かう。
今ではすっかり、三人が集まる場所でもある。