朧咲夜ー番外篇ー【完】
「まー、現在流浪中の流夜だから、近いうちに必ず渡せるとは約束出来なくてごめんなんだけどね?」
「うん。……届いてくれるだけで、十分」
本当は、直接渡したい。でも、今は逢わない時間の中。
一つ頭(かぶり)を振る。
「頼。お前のもあるよー」
遙音の説教が終わった頼に、チョコを渡す。
頼は受け取ったそれを無言で眺めている。
「なに? ……別にもう爆発させてないよ」
じーっと微動だにせずに見ている。頼ってチョコ苦手だっけ?
「……これって、友チョコ?」
「当り前でしょう。ふゆちゃんだって友達だもの」
現在、吹雪と咲桜は親友と公言するほど仲良しになっていた。
咲桜が答えると、頼はゆっくりと咲桜を見て来た。
「なら、受け取れない」