朧咲夜ー番外篇ー【完】


「まー、現在流浪中の流夜だから、近いうちに必ず渡せるとは約束出来なくてごめんなんだけどね?」


「うん。……届いてくれるだけで、十分」


本当は、直接渡したい。でも、今は逢わない時間の中。


一つ頭(かぶり)を振る。


「頼。お前のもあるよー」


遙音の説教が終わった頼に、チョコを渡す。
 

頼は受け取ったそれを無言で眺めている。


「なに? ……別にもう爆発させてないよ」
 

じーっと微動だにせずに見ている。頼ってチョコ苦手だっけ?


「……これって、友チョコ?」


「当り前でしょう。ふゆちゃんだって友達だもの」
 

現在、吹雪と咲桜は親友と公言するほど仲良しになっていた。


咲桜が答えると、頼はゆっくりと咲桜を見て来た。


「なら、受け取れない」

< 85 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop