朧咲夜ー番外篇ー【完】
「……は? なんで。チョコ駄目なら――」
「そうじゃなくて。……今まで何度言っても信じてもらえなかったけど……俺は、咲桜がすき。
流夜くんがいないから今言う、とかじゃなくて、俺は咲桜がすきだから。
……だから、友達、としては、受け取れない」
「…………」
咲桜、数秒黙ったあと、こてん、と首を傾げた。
「頼が? すき、なの?」
「うん。たぶん、ずっと前からすきだった」
笑満も、遙音も、吹雪も黙っている。
咲桜は、頼に向き直った。
「ありがとう。好いてくれるのは、嬉しい。けど……私にはすきな人がいるから、頼と恋人になることは、出来ない。ごめん」
「……この先、逢えるかわからない人でも?」
「うん。逢えるかわからないから、逢いに行くんだ。私の神経は、今そちらにしか向かっていない」
「……そっか」
頼は落ち着いた顔で、淋しそうに笑った。
咲桜はきゅっと唇を結んでから、そっと開いた。
「それで……頼? こんな返事をしてしまっては、私は……頼の友達失格だろうか……?」