朧咲夜ー番外篇ー【完】


「何言ってんの?」


頼はあっさり答えた。


「失格に決まってんじゃん。人のこと振っておいて」


「うう……」


そこまでバッサリ……咲桜が視線を落とすと、吹雪がくすりと笑った。


「可愛いねえ、お前たちは」


「……ふゆちゃん」


それを茶化しと受け取った咲桜が恨みがましい目で見ると、吹雪は頼の襟元を摑んで引き寄せた。


そして小声で問いかける。


「流夜に負けたから、咲桜の傍にはいたくないんだ?」


「………」


渋面になった頼を、咲桜は眉根を寄せて見る。何言われたんだ?


「ま。頼がいなくなるのは、僕は別にどうでもいいけどね? そしたら咲桜の親友が僕と笑満ちゃんだけになるだけだし。僕が咲桜に占める割合が大きくなるだけ」


そこで、ぱっと手を放した。


「悔しいんなら、どっかの放浪中を負かせればいいじゃないか」


終始ニコニコしている吹雪。咲桜は、そのどに言葉も聞こえなかった。


「……咲桜」


頼が、ものすごく不満そうな声で呼びかけた。

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