朧咲夜ー番外篇ー【完】
「今日は七時には帰るから、友達といても帰って来なさいって言われてる。今は……」
「まだ三時だな。でも珍しいな。在義さんが時間指定してくるって」
デフォルトで多忙な人なのだ。
「だからそれまでには帰らなきゃで……えと……」
「俺もいてもいいか?」
「勿論! て言うかむしろ流夜くんがいてくれないと話が進まないと言うか!」
勢い込む咲桜に、また苦笑がもれる。
「今日言いたいと思う。在義さんに。……咲桜と結婚させてください、て」
「う……うん」
優しい音で鳴る心臓。
「……ゆるしてもらえるかな?」
「もらえるよ。在義父さんが言ってたんだよ? 婿は流夜くんで、て。反対されたら折れるまで口きかない」
「―――」
それは在義にはこたえるだろう。娘溺愛な人だから。