朧咲夜ー外伝ー【完】


桃子として生きていくのなら、問題はないでしょう。ありのままに勝るものはないわ。


でも、在義の妻として、在義の娘を産むのなら、強くなければならない。
 

まだ咲桜がお腹にいる頃の桃子と、わたくしは二人きりで話したことがある。
 

桃子はわたくしに対して萎縮しているようでした。それを承知で、話しました。


「桃子。在義の仕事上、お前とお前の娘を、うちで預かることも多いでしょう」


「……はい。申し訳ありませ――


「簡単に謝るんじゃありません」
 

わたくしが皆まで言わせずに返すと、桃子はびくりと肩を震わせた。


……わたくしはいじめる趣味はないのよ。


「お前には厳しいことを言うと、承知して聞きなさい」

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