朧咲夜ー外伝ー【完】
朝間夜々子 繰り返す夜
私はこの子を愛せるわ。
「兄さん?」
ひょいっと玄関を覗くと、在義兄さんが箏子母さんと話しているところだった。
わたしの耳は在義兄さんの声ならどこでも拾う。
「あ、おはよう夜々ちゃん」
朗らかに微笑むのはお隣の華取在義兄さん。
年は離れているけど、兄さんからすると私は幼馴染という認識らしい。
私は勿論お慕いしまくっている。恋愛的な意味で。
「在義が警官になるとはわかってましたけど、キャリアの方になるとはねえ」
在義兄さんと話していた母さんが、一方の腕に頬杖をついて感心している。
兄さんは今年で二十三歳。一方、私は十歳。
これで私が告白なんてしたら、兄さんが犯罪者になってしまう。
だから今は言わないけど……十六くらいになったら告白を企んでいる。
その年まで在義兄さんに奥さんや恋人がいない保証はないけど……私の気持ちの問題、かな。
在義兄さんは見た目爽やかだし、現役でキャリア試験に合格するほど頭もいい。
女性から見たらお近づきになりたい存在だよね。
でも兄さん、学生時代も恋人とか全然作らなくて。