朧咲夜ー外伝ー【完】
負け惜しみみたいな質問。それとも優位に立ちたかったのか。
桃ちゃんに同情的な気持ちにでもなっていたのか……今となってはわからないけれど、私の口は動いていた。
「桃には言わないよ。……桃は、そんなことまでは耐えきれないだろうから」
………在義兄さん、わかってるんだ。私が在義兄さんを慕っていることなんて、ずっと。
それでも、私には普通の幸せの方へ行けという。
……自分がそうなれないと思っているから。
なんて傲慢なのかしら。……でも、在義兄さんらしいわ。
すっと、ベンチから立ち上がった。
「お生憎様」
「夜々ちゃん?」
まだ座ったままの在義兄さんを、斜め下に見下ろす。小バカにしたような目で。
「私がどう生きるかなんて、私が決めることだわ。幼馴染だからって、在義兄さんに口出しさせません」
「……夜々ちゃん、」
「私は幸せよ。普通に幸せ。……私は私の生きたいように生きているわ。だからこれからも、私の生きたいように生きるの。在義兄さんから見て、今の私は不幸に見えて?」
にっと口の端で笑いながら問うと、在義兄さんは一瞬驚いた顔をしたけど、すぐに苦笑を浮かべた。
「いや」