朧咲夜ー外伝ー【完】
それから咲桜ちゃんが生まれて、私は桃ちゃんと咲桜ちゃんと、とっても幸せな日々を過ごしていた。
これはある、在義兄さんも一緒にいた日なんだけど、
『はあ~、桃ちゃんも咲桜ちゃんも可愛すぎる……尊い……二人とも私と結婚しましょう!』
と、咲桜ちゃんを抱っこする桃ちゃんにぎゅうと抱き付いて、在義兄さんを泡食らわせたりしたわ。
『や、夜々ちゃん⁉ さすがに冗談が過ぎると言うか――』
『冗談じゃないわ。在義兄さんはもう私の幼馴染じゃないわ。桃ちゃんと咲桜ちゃんを賭けたライバルよ!』
と、勝手に宣言して更に混乱させたりして、それは幸せな毎日だったわ。
……けれど、桃ちゃんは頑張って生きすぎていたのね……。
突然、儚くなってしまった……。
親友と思っていた子を喪った喪失感……あどけない咲桜ちゃんが残されて……。
在義兄さんの部下だったマナちゃんも加わって、一緒に咲桜ちゃんの母親代わりになったけれど、夜、一人で寝ているときは淋しくてたまらなくなった。
桃ちゃん……桃ちゃん……なんで死んでしまったの……咲桜ちゃんと在義兄さんを置いて……。
そんな言葉ばかりが頭をかけめぐっていたわ。
桃ちゃんは天命を生き切ったと言うのに、悔しくて悔しくて仕方なかった。
桃ちゃんは、もっと生きるべきだったのに……。