朧咲夜ー真相ー【完】
……特に何も思わないな。
それは、咲桜の恋人としての自分でいるからだろうか。
咲桜の父は在義でしかないから。
ここにいるのは、暴行事件の被害者で、誘拐の容疑がかけられている人。
「……流夜くん」
「はい」
「私の肩、摑んでいなさい」
「……は? いくら混乱しても男に抱き付くような趣味ないですよ?」
「イライラしてあの生命維持装置ぶっ壊したい」
「在義さんはこれ以上一歩も動いちゃ駄目です」
在義の右肩を思いっきり摑んだ。
だから公私混同の在義は苦手なのだ。
苛烈な太陽の塊と評された私人としての在義の考えで、公人の立場を使う。
「つーか、そんななるんだったら龍さんに頼めばよかったでしょう」