朧咲夜ー真相ー【完】
「いつかは俺がどうにかしないといけない存在だ。君よりも俺に関係のある人間だ」
「………」
うわあ……一人称が私人モード全開。
これ、絶対右手が離せない。
「……在義さんは、この人をどうしたいんですか?」
「とりあえず石抱きかな」
「今すぐ帰りましょう」
在義の肩を摑む手に力が入る。
江戸時代の拷問だった。
何考えてここに来たんだ、この人は。
「そのくらいぶっ飛ばしたいヤツだってことだよ」
……本来はそれ、自分が思うことなんだろうなあ、と遠い感情で在義を見る。
こんなときに、自分の壊れ具合というか……欠落感をひたと受けることになるとは。
咲桜の出生を知ったときも、思ったのは咲桜が傷ついているのが自分には痛い、だった。