朧咲夜ー真相ー【完】
咲桜にしか感情が動かない、とはよく言ったものだ。
聞こえだけはいいだろうか。
自分の家族を壊したかもしれない奴なのに。
ただ、人形でも横たわっている感じしか、しない。
嫌悪感を覚えるのは、ベッドの上の人影ではなく、痛みを感じない自分自身にだ。
こんなんで咲桜の……流夜のために自身の心さえ壊れろと願った咲桜の、隣を赦されるのだろうか。
「……このまま目覚めないだろうか」
「え? ……回復の見込みは、あるんですか?」
「医学を理屈だけじゃないだろう。……目覚めてくれたら、思いっきり罵倒出来るのに、と悔しいよ」
罵倒。
そうか、彼は責められるべきなのか。
「……流夜くん」