朧咲夜ー真相ー【完】


いきなり在義に呼び出された流夜は、その理由がわからず、けれどある程度の察しはついて病院にいた。


数分だけ遅れてやってきた在義は無表情で、更に無言で流夜を病室へ促した。
 

静かな病室。機械の音しかなかったそこには医者と看護師がいた。


入って来た在義を見て、静かに礼をして出て行った。


「失礼。意識が戻ったばかりと聞いたが、話せるそうだね?」
 

在義の声は堅い。


流夜は在義の隣に立って、無言で彼を見下ろした。
 

開いた瞼。息のために白くなる呼吸器。


……目覚めて、彼はそこにいた。

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