朧咲夜ー真相ー【完】
「俺の妻と娘に関して、君に言を赦しはしない。桃を自分の女(ひと)だと言ってみろ。すぐさま首を折ってやる」
ねめつけて、在義は身を翻した。
……在義が誰のことを指したのか、そしてその存在があることを伝えたか……彼は少ししてから大きく瞬いた。
残された流夜は、取りあえず彼を見つめた。
在義は彼に対して、私人の立場を貫く気だ。
「……君は……? さっきの方の部下か、なにかですか……?」
問われて、流夜は瞼をおろした。
「俺は……神宮流夜といいます。さっきの方の――在義さんの娘さんの、婚約者です」
彼は、やはり驚いたように大きく目を開いた。
苗字だけでも、推察はつくだろう。