朧咲夜ー真相ー【完】
「はい……。あの子を連れ出して、逃げて、……ついには見つかった。……口封じ、というやつか……襲われて、あの子だけは、見つからないように、と……」
「……あとは、全て警察に話すことをすすめる」
ここまでで、もう十分だろう。
「待ってください。さっきの方は、あの子の――」
「桃子さん」
「……ももこ……?」
「在義さんの妻の名前は、桃子さん。それだけが、真実です。
あなたが知っていることを話すことはすすめるが、これ以上、あなたが知らないことを詮索するのは赦さない。
……俺も、あなたには害意しかない」
何も思わないのかと思っていた。
今あるのは、怒りだけだった。