朧咲夜ー真相ー【完】


「事件に対しての俺の立場は旧知に任せるから、もう俺がここに来ることもないだろう。……それでは」
 

頭を下げたりはせずに、流夜も退室した。
 

廊下に在義はいない。


先に帰っただろうか。常に忙しい人だから、それも仕方ない。
 

今の対応が正解とは思えない。でも、あれ以外に言えることはなかった。
 

……正直、何も言いたくなかった。
 

意識があるのとないのだけで、ここまで感情の発生が違うものか――。


「流夜くん」


「―――」
 

ロビーの椅子に、在義は座り込んでいた。

< 62 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop