朧咲夜ー真相ー【完】
「事件に対しての俺の立場は旧知に任せるから、もう俺がここに来ることもないだろう。……それでは」
頭を下げたりはせずに、流夜も退室した。
廊下に在義はいない。
先に帰っただろうか。常に忙しい人だから、それも仕方ない。
今の対応が正解とは思えない。でも、あれ以外に言えることはなかった。
……正直、何も言いたくなかった。
意識があるのとないのだけで、ここまで感情の発生が違うものか――。
「流夜くん」
「―――」
ロビーの椅子に、在義は座り込んでいた。