幾久しく、君を想って。
そういう意味ではなく、一般的な意味合いで言ったつもりだったんだけど……。



(…まぁいいか)


「そうですね。機会があればまたお邪魔するのもいいかもしれない」


あんまり参加なんてしないんだろうな…と思いながらも言葉を合わせて返すと、前を行く人は振り向いたままで、ほやっと笑って見せてくる。


人のいい笑顔に小さく胸の鳴る音がして、気のせいだろうな…と自分に言い聞かせる。



「宮野さんが参加する時は教えて下さい。俺も出来るだけ参加しますから」


「えっ、どうして」


毎回送るつもりでいるんだろうか…と顔を見れば、振り向いてた人は背中を向けて歩き始める。

何だったのよ…と思い直し、少しばかり言葉の先が気になった。





「……だから」


「え?」


前から何か言葉が聞こえ、何?と思いつつ背中を見上げる。

男性の背中を間近で見上げることも、この最近はなかったな…と思っていると。



「宮野さんともっと親しくなりたいから」


振り返った人の表情が照れていて、今度は間違うこともなく大きく胸が鳴った。



「あ…あの…」


妙に狼狽えてしまった。
若い子でもないのに、男性のそんな言葉一つに動揺してしまうなんて。


「俺、宮野さんに質問があるんですが」


オロオロとしていると、前を行く人は歩幅を縮め、横に並ぶように歩き出した。


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