幾久しく、君を想って。
普段は教えてもくれない学校生活の一部を耳にして嬉しかった。
やりたいと言っていた時に教えておいて良かったと思った。
焼き上がった生地にバターや蜂蜜を付け、チョコペンで絵を描いたりして食べた。
「案外と美味しいですね」と他の保護者達と談笑をして、片付けを終えた後で教室に移動した。
「本日はお忙しい中、保護者の皆様にはお集まり頂きまして有難うございました。今日はクラス全員が満十歳になるのを記念して、ハーフ成人式を行いたいと思います」
担任の先生はそう挨拶をし、入学式以来撮り貯めてきた写真をスライドショーとして流します、と言った。
軽快なポップミュージックと共に始まったスライドショーは、子供達の一年生からの記憶を辿っていく。
三年生までは写真のない拓海の目は、それをじっと見つめていた。
【三年生】と文字が映し出され、ごくん…と息を呑んだ。
最初のスライドには転校してきたばかりで、今一つクラスに馴染めて無さそうな拓海の不安そうな横顔が映し出された。
それが行事を一つ重ねていく毎に、明るい顔へと移り変わっていく。
授業中に立って本を読んでいるところ。体育の時間に水泳をしながら皆とふざけ合っているところ。
校外学習で熱心に標本を眺めている横顔、下級生と手を繋ぎ、お兄ちゃんらしくしている運動会での姿。
やりたいと言っていた時に教えておいて良かったと思った。
焼き上がった生地にバターや蜂蜜を付け、チョコペンで絵を描いたりして食べた。
「案外と美味しいですね」と他の保護者達と談笑をして、片付けを終えた後で教室に移動した。
「本日はお忙しい中、保護者の皆様にはお集まり頂きまして有難うございました。今日はクラス全員が満十歳になるのを記念して、ハーフ成人式を行いたいと思います」
担任の先生はそう挨拶をし、入学式以来撮り貯めてきた写真をスライドショーとして流します、と言った。
軽快なポップミュージックと共に始まったスライドショーは、子供達の一年生からの記憶を辿っていく。
三年生までは写真のない拓海の目は、それをじっと見つめていた。
【三年生】と文字が映し出され、ごくん…と息を呑んだ。
最初のスライドには転校してきたばかりで、今一つクラスに馴染めて無さそうな拓海の不安そうな横顔が映し出された。
それが行事を一つ重ねていく毎に、明るい顔へと移り変わっていく。
授業中に立って本を読んでいるところ。体育の時間に水泳をしながら皆とふざけ合っているところ。
校外学習で熱心に標本を眺めている横顔、下級生と手を繋ぎ、お兄ちゃんらしくしている運動会での姿。