幾久しく、君を想って。
脳裏に別れた人との過去が蘇った。
それを思いながら、松永さんの目を見た。



「あの……」



いろんな事を説明しないといけない。
それには、余りにも時間が無さすぎる。



「今夜……連絡してもいいですか……」


目を見たまま問うと、松永さんの顔がほやっと笑う。
その表情に、自分の気持ちが全部吸い寄せられるような気がした。

ドキンドキン…と大きな鼓動を感じながら、「お願いします」と言う声を聞いた。

松永さんの声が耳ではなく、胸に届いてきた。



「それじゃ…皆を呼んできますね」


松永さんの声を抱きしめる様な気持ちで背中を向けた。

建物内に向かって走りだしながら、未来への扉が開いていくような気がしたーーー。



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