幾久しく、君を想って。
朝ご飯を食べ終えると、拓海は封を切ったチョコレートを一つ、私の手に乗せてくれた。
それから、「もう一つ」と言って、銀カップに入ったチョコレートも置いた。
「これは?」
「吉川さんが作ったやつ」
「吉川さん?」
「日曜日に同じ班だった女子。髪が長くて煩いのがいただろ?あいつのこと」
(髪が長くて煩い?)
そう思い返しながら、ホットケーキを焼く時に声をかけてきた女の子を思い出した。
まつ毛が生え揃っていて、綺麗な目元をした子だった。
「ああ、あの髪の毛を二つに結んでいた子ね。拓海はその子と仲良しなの?」
「そんなことないよ。ただ、あいつが『お母さんにもあげてね』って言ったから」
ぶっきら棒な言い方は別れた夫に似ている。
記憶にも残らない時期に離婚した筈なのに、どうしてこんな所が似ているのだろう。
「…そう。ありがとうって言っておいてね」
折角だから頂こうかな…と口の中に入れた。
甘いミルクチョコレートは、直ぐにトロッ…と溶けてなくなった。
「美味しっ!よく出来てる!」
上手ね、と褒めておいた。
すると拓海は自分のことでもないのに、嬉しそうな顔をして笑った。
その顔を見ながら、今のは吉川さんの本命チョコだったんじゃないのかと思った。
拓海は私に彼女からそれを貰ったことを、さり気なく教えたかったんじゃないのか。
それから、「もう一つ」と言って、銀カップに入ったチョコレートも置いた。
「これは?」
「吉川さんが作ったやつ」
「吉川さん?」
「日曜日に同じ班だった女子。髪が長くて煩いのがいただろ?あいつのこと」
(髪が長くて煩い?)
そう思い返しながら、ホットケーキを焼く時に声をかけてきた女の子を思い出した。
まつ毛が生え揃っていて、綺麗な目元をした子だった。
「ああ、あの髪の毛を二つに結んでいた子ね。拓海はその子と仲良しなの?」
「そんなことないよ。ただ、あいつが『お母さんにもあげてね』って言ったから」
ぶっきら棒な言い方は別れた夫に似ている。
記憶にも残らない時期に離婚した筈なのに、どうしてこんな所が似ているのだろう。
「…そう。ありがとうって言っておいてね」
折角だから頂こうかな…と口の中に入れた。
甘いミルクチョコレートは、直ぐにトロッ…と溶けてなくなった。
「美味しっ!よく出来てる!」
上手ね、と褒めておいた。
すると拓海は自分のことでもないのに、嬉しそうな顔をして笑った。
その顔を見ながら、今のは吉川さんの本命チョコだったんじゃないのかと思った。
拓海は私に彼女からそれを貰ったことを、さり気なく教えたかったんじゃないのか。