幾久しく、君を想って。
翌日のお昼休みに、林田さんに全てを打ち明けて相談した。


『拓海に彼を紹介しようと思うんだけど』


そう文字を打つと、彼女からは『待った!』を止めが入る。


『幾ら何でも急過ぎない?拓海君はその人のこと何も知らないんでしょ?』


映画を観に行った時も自分と一緒だったということにしたくらいではないか。
なのに、突然彼氏ができましたと言って、拓海がそれを受け入れられるのかと責められた。


『それは自信がありませんが』


苦悩するように頭を抱え込んでいるスタンプを押すと、林田さんは『多分無理がある』とハッキリ返してきて、『先ずは私に彼を紹介してみたら?』と提案した。


『私の知り合いだということにして会わせたらどう?その方が建設的よ』


自分が見定めたい思いが半分以上を占めているんだろうな…と思うけれど、拓海に信頼の厚い林田さんの知り合いだということにしておけば、すんなりと話が運び易いのかもしれない。


『何となく嘘を吐くようで気が引けますけど』


『だから私に先に紹介しておけばいいのよ。そしたら知り合いには間違いないじゃない!』


嘘でも何でもないよと言葉が戻り、一抹の不安を感じながらも『じゃあ、そういう事でご協力下さい』と願った。


『大いに任せなさい!』


胸をドン!と叩くスタンプが戻り、可笑しいような頼もしい気分がした。


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