幾久しく、君を想って。
「明るい人だね」


彼女の背中を見送りながら松永さんが言った。


「そうなの。だから拓海も彼女が気に入ってて」


とても信頼の置ける人なんだと言うと、「そうか」と嬉しそうに笑う。


「なんかちょっと妬ける」


「えっ？」


「俺よりも彼女の方が、真梨さんにも拓海君にも近そうだ」


嫉妬だから止すか…と言うけれど、目は真剣にそう思っているようだ。
違うとも言い辛く、だからと言って、何と言葉を返せばいいのか迷う。

そこへ三人分のコーヒーをトレイに乗せた林田さんが来てくれて、ホッとしながら受け取った。



「ありがとう」


立ってトレイを持ち椅子に腰掛ける。

私はブラックだけど、「松永さんは如何しますか？」と聞いた。


「このままでいいよ」


寝不足気味なのか、目の下にクマのようなものが見える。

気になりながらカップを手渡し、林田さんは？と言って前を向いた。



「私は自分でやるからいいよ」


彼の世話をしてやって…と言われ、思わず顔が熱くなる。

彼と言われる存在に慣れてなくて、それを第三者の口から聞くと余計に気恥ずかしくなった。



「今日の宮ちゃんは可愛いわー」


冷やかす様な言葉を言われ、益々俯き加減になる。
隣にいる人も私のことを見て笑うから、どんどん目線が下向きになっていった。


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