幾久しく、君を想って。
「そんなことはどうでもいいの!私が聞きたいのは、まっちゃんの気持ち」


「松永さんの気持ち?」


あれのことかな…と頭に蘇る言葉はあるけど。


「好きとか付き合おうとか言われなかった?」


「えっ!好き!?」


唖然として目を見開いてしまった。
誰かが自分を好きだとかいうことを、この十年近く考えたこともない。


「そんなこと言われませんよ!」


前から話してみたかった…とは言われたけど。


「なぁんだ。まっちゃん意外に意気地がないな〜」


「それは意気地が有るとか無いとかの関係ではないと思うんですが」


「それが大有りなのよ!」


職場でも押しの強いと評判な高本さんは、白菜を両脇に抱え直して胸を張った。


「あの人って、貴女がこの会社に勤めだした頃から気にしてんのよ。
『宮野さんの下の名前何ていうんですか?』ってしつこく聞いてきてさ。
齢も幾つかって聞くから知らないわよ…と言ったら、『確認しておいて下さい!』とか言って頼むし〜」


面倒くさい男だな…と思いながらも『アラフォー部会』のメンバーではあるし、無下な態度も取れないな…というので、松永さんが勤める生協の班にも誘い入れて、話ができる環境を整えてやったんだ…と話す。



「金曜日はそれもあったから宮野さんを誘ったのに……何をやってんだか、全く…」


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