幾久しく、君を想って。
急に二つ返事が戻り、「付いて行く!」と張りきりだした。


「どうしたの?急に」


「だって、もしかしたらパエリアとかピザとかが出るかもしれないじゃん!」


食べてみたいと言いだし、店が違っても付いて行く!と決めてしまった。


「僕が行ってもいいんでしょ?」


「う、うん…」


「やったぁ!今日皆に言いふらそう!」


その言葉にギョッとして、「おじいちゃんとおばあちゃんには内緒にして」と頼んだ。


「お母さんと外で食事するって言うのよ」


間違っても大人の集まりに参加すると言われては困る。
拓海は「分かった!」と約束したけれど、内心は心配で仕方ない。

ハラハラする気持ちで学校へと送り出し、お昼休みになってメッセージを打った。



『拓海が行くと言っていました』


弱り顏と一緒に送信をタップすると、松永さんはにやりと笑うスタンプを送り返してきた。


『やっぱりね。食いしん坊そうだから誘えば来ると思った』


予想通りだと付け加えて、『その帰りに教える?』と聞いてくる。



『教える?』


何を?と首を傾げるスタンプを貼ったらーー



『真梨さんの気持ち』


(えっ、まさか…)


彼を好きだと教えるかと聞いている。
急に胸が弾み、どうしようか…と迷った。


『部会はまだ先だから考えておけばいいよ。その前にもう一度遊んでから距離を縮めておきたい』


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