幾久しく、君を想って。
二時間後くらいに「今日はこれまでにしよう」と閉会の挨拶が済み、ようやく拓海達のいるテーブルへ行けた。



「宮っち〜、またね〜」


声をかけようとしたら、後方から酔い潰れかけた高本さんに呼ばれた。



「また月曜日に!」


振り返りざまに声を返すと、いつものように迎えに来たご主人の肩に掴まっている。
「しっかり歩けよ」と怒られながら、「へーきへーき」と上機嫌で返事をしていた。



(……相変わらず大変だな)


あんな姿を見て、羨ましいと思っていた時期もあった。
支えてくれる人の居ることが、どれだけ有難いかを知っていたからだ。




「面白かった?」


後ろで松永さんの声がする。


「うん!すげーサイコーにオモロかったっ!」


どういう言葉遣いだ…と呆れながら振り返り、自分の子供だと思うと恥ずかしくなった。



「拓海!」


眉根を寄せながら近付こうとすると、聞きたくもない拓海は彼の手を引っ張って逃げだす。


「早く出よう」


まるで追いかけっこの鬼から逃げだすみたいで、むっとする私に気づいた彼が小さく笑う。


並んで歩く二人の後ろ姿を見つめながら、先週の日曜日のことを思い出していた。



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