幾久しく、君を想って。
「お待たせしました」
熱いので気をつけて…と差し出した後、ようやく着ているコートを脱げば。
「可愛いね。それ」
くすっと笑い声が聞こえ、胸元にプリントされたキャラクターに視線が注がれる。
「こ、これは若い頃に好きだったから…」
慌てて脱いだコートで前を隠し背中を向ける。
やっぱりらしくないと思われたか。
どうしてこんな服しか実家には置いてなかったのだろう。
「ちょっと待ってて下さい」
自分の部屋へ向かい、今朝脱いだカーディガンを羽織り直す。
上からボタンを数個留め、キャラが見えなくなるとホッとした。
はぁ…と息を吐いて振り返れば、松永さんは私の部屋の前に立っている。
後を追って来たんだ…と分かり、ドキンと余計な心臓の音が聞こえた。
「ここが君の部屋?」
中の様子をしげしげと見回している。
ベッドとタンスと机以外は、可愛らしいものも何も置いてない無機質な感じのする部屋だ。
「色気も何もないでしょう」
自ら肯定してしまうと、松永さんはうん…とも言わず、中へ入って来ようとする。
「和樹さん、あっちで…」
この部屋は寒いからと言うのに、「ここでいいよ」と返事が戻る。
ベッドがあるから落ち着かないとは言えず、「それじゃお茶を運んでくる」と言えば、それもまた「いい」と止められた。
熱いので気をつけて…と差し出した後、ようやく着ているコートを脱げば。
「可愛いね。それ」
くすっと笑い声が聞こえ、胸元にプリントされたキャラクターに視線が注がれる。
「こ、これは若い頃に好きだったから…」
慌てて脱いだコートで前を隠し背中を向ける。
やっぱりらしくないと思われたか。
どうしてこんな服しか実家には置いてなかったのだろう。
「ちょっと待ってて下さい」
自分の部屋へ向かい、今朝脱いだカーディガンを羽織り直す。
上からボタンを数個留め、キャラが見えなくなるとホッとした。
はぁ…と息を吐いて振り返れば、松永さんは私の部屋の前に立っている。
後を追って来たんだ…と分かり、ドキンと余計な心臓の音が聞こえた。
「ここが君の部屋?」
中の様子をしげしげと見回している。
ベッドとタンスと机以外は、可愛らしいものも何も置いてない無機質な感じのする部屋だ。
「色気も何もないでしょう」
自ら肯定してしまうと、松永さんはうん…とも言わず、中へ入って来ようとする。
「和樹さん、あっちで…」
この部屋は寒いからと言うのに、「ここでいいよ」と返事が戻る。
ベッドがあるから落ち着かないとは言えず、「それじゃお茶を運んでくる」と言えば、それもまた「いい」と止められた。