幾久しく、君を想って。
「謝るくらいなら俺を見て。他の誰も見ないで欲しい」



それが例え愛する子供でも嫌だ。
俺は君に一番近い男でありたいーー。



熱い告白をされ、その思いをぶつけるようかのようにキスをしてくる。
バレンタインデーの夜に受けたものよりも激しく濃密なキスに翻弄され始めた。




「真梨…っ」


唇を離しては名前を呼び続ける。

息も絶え絶えになる私の体から衣類を剥ぎ取り、彼の舌が這っていく。



「あっ……んっ……んんっ……」


こんな展開を待ち望んでなどいない。

けれど、体は本能的に彼のことを受け入れようとしている。

十年近くも誰ともしてこなかった行為を、ずっと心待ちにしていたかのようにーー。



乳房を掴んだ手が止まり、直ぐにでも吸い付きそうだった唇が離れていく。

意識が遠のきそうになっていた私はそれに気づき、息を弾ませたまま彼を見た……。



「この乳首に吸い付くのも俺だけにして。これから先、絶対に誰にもこの肌を拝ませては嫌だ。例えば君の大事な子供でも、俺にとってはライバルだから」


舌の先が擦るように触れていく。
ビクビクとなる私の反応を面白がるように、彼の舌は細く動く。


「これくらいで感じるようじゃ母親とは言えないよ」


可愛い過ぎる…と囁かれる。
自分が一人の女だということを意地悪く教え込まれていく。


< 244 / 258 >

この作品をシェア

pagetop