幾久しく、君を想って。
火曜日は生協の配達日。

厨房で働く調理員さんや事務所の社員さん達で作る班に、私も加えて貰っている。

まさか、松永さんと高本さんとの間で月曜日に聞いたやり取りがあったから誘われたんだ…とは知らず、今日まで呑気に助かるなぁと思って利用していたんだが。


次からはどうしようか。
このまま何も聞かなかったことにしておいて、これまで同様、普通の利用者として接しておいた方がいいのか。

多分、急に脱退するとなれば「何かありましたか?」と聞かれるだろうし、何もないです…と言えば、「利用を継続して下さい」とも言われそうだ。


第一生協の利用を止めれば、きっと拓海がガッカリする。

チキンナゲットもポテトフライもあの子の大好物で、余計な添加物が入っていない調味料類は、味が良くて使い易い…と、母にとても好評だった。


本来は実家に住んでいないから、職場に配達して貰えれば買い物へ行かなくても済むから助かる。

いい事づくめで喜んで利用していたのに、思わぬところで裏工作があったなんて。


迷いなから仕事をし続け、午後からの配達時間が気になりだす。

今日はどんな顔をして彼に会えばいいのか…と、変に気構えてしまう。


松永さんは、私が高本さんから話を聞いたとは知らないだろう。

知らない筈の人に、変に意識した顔で会うのもおかしい。


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