幾久しく、君を想って。
「それでは新年最初の『アラフォー部会』を始めたいと思います!」


二十名程度の男女が並んだ長テーブルの真ん中にいる男性が立ち上がり、ビールの入ったグラスを掲げる。


「かんぱ〜い!」


かんぱ〜い!…と緩く声を掛け合いグラスを鳴らし合う面々。
私は隣の高本さんとグラスを鳴らした後、前に座ってる松永さんともグラスを鳴らした。

その後は顔も知らない人とグラスを鳴らし合い、「お疲れ様です」と声を掛け合う。

周りからは直ぐに雑談が聞かれ始め、顔見知りの少ない私は取り残される。




(緊張するなぁ)


飲み会に参加するなんて、今の職場に就職して以来のことだ。

通称「アラフォー部会」と呼ばれるこの集まりには、職場の関係者のうち、年齢が「満三十五歳以上、四十四歳以下」の男女が参加している。
同年代の親睦の意味も兼ねているらしく、既婚、未婚問わず、定期的に集まっているんだそうだ。


私がこの会に参加を勧められたのは年末休暇前のこと。
高本さんに元旦の誕生日で三十五歳になると教えたら、この会に来てみないかと誘われた。


「いい気晴らしになるわよ」


たまにはいいんじゃないの?と言われ、一度だけなら…のつもりでやって来た。



「飲んでる?宮野さん」


「あ、はい。頂いてます」


「しっかり食べて飲んでよ。会費分元取らないと損よ」


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