幾久しく、君を想って。
その日の夜、貰った名刺を前に溜息を吐く。
松永さんと話した後で遅れて中に入った私を見て、高本さんはにやりと笑っていた。
その時は何も言い出さなかったけど、仕事を上がる前に栄養事務室のデスクまで来て、ぽそりと耳打ちして聞いた。
「まっちゃんに何か言われたの?」
見てたのか…と思い驚く。
まさか映画に誘われたとも言えず、単純に金曜日のお礼を言っただけだと嘘を吐いた。
「そのままの勢いで付き合っちゃえばいいのに」
高本さんの考えはぶっ飛んでいる。
私は肩を怒らせて、「とんでもない!」と声を張り上げた。
バツイチでコブ付きの私が誰と付き合う?
そんなことができるのなら、この十年近くも一人でなんかいなかった。
「私は一人でいいんです。誰とも付き合ったりはしません!」
断固として反対した。
プイッと他所を向く私に、高本さんは少し呆れ気味な様子だった。
「勿体無いなぁ。イイ感じなのに」
何処を見てそう思うのかは知らない。
そんな風に見られるのなら生協の班も脱退したい。
(でも…)
…と思いつつ見つめるチケットと名刺。
さっきからこの連絡先に、何と言って連絡すればいいのかが分からず悩んでいた。
今更、松永さんに「行きません」とは言えない。
観てみたい映画ではあるし、行けば久し振りに気晴らしができそうな気もする。
松永さんと話した後で遅れて中に入った私を見て、高本さんはにやりと笑っていた。
その時は何も言い出さなかったけど、仕事を上がる前に栄養事務室のデスクまで来て、ぽそりと耳打ちして聞いた。
「まっちゃんに何か言われたの?」
見てたのか…と思い驚く。
まさか映画に誘われたとも言えず、単純に金曜日のお礼を言っただけだと嘘を吐いた。
「そのままの勢いで付き合っちゃえばいいのに」
高本さんの考えはぶっ飛んでいる。
私は肩を怒らせて、「とんでもない!」と声を張り上げた。
バツイチでコブ付きの私が誰と付き合う?
そんなことができるのなら、この十年近くも一人でなんかいなかった。
「私は一人でいいんです。誰とも付き合ったりはしません!」
断固として反対した。
プイッと他所を向く私に、高本さんは少し呆れ気味な様子だった。
「勿体無いなぁ。イイ感じなのに」
何処を見てそう思うのかは知らない。
そんな風に見られるのなら生協の班も脱退したい。
(でも…)
…と思いつつ見つめるチケットと名刺。
さっきからこの連絡先に、何と言って連絡すればいいのかが分からず悩んでいた。
今更、松永さんに「行きません」とは言えない。
観てみたい映画ではあるし、行けば久し振りに気晴らしができそうな気もする。