幾久しく、君を想って。
職場の先輩で世話好きな高本さんに言われるまま二杯目のビールを飲み込む。


「意外に強いんですね」


前の席から話し掛けられ、「それ程でも」と言葉を返す。


「なんだ、なんだぁ〜？まっちゃんの知り合いかぁ〜？」


乾杯の音頭を取っていた男性がビール瓶を片手に回って来た。


「配達先の関係者ですよ」


自分に向けられたビールの酒口を受けながら松永さんが答える。


「こんな美人が配達先にいるのか？俺のコースと変われよ」


始まる前から飲んでたんだろうな…と思われる人は、そう言いながらビールの口を私に向けた。


「あ…どうも、頂きます」


置いていたグラスを取り上げて注いで貰う。
一口飲んでから替わろうとしたら、スッとビール瓶を取り上げた人がいて。


「さぁどうぞ、先輩」


口先を相手の方へ向ける。


「男に注がれても嬉しくないんだけどなぁ」


会合の責任者みたいな人は、そう言いつつも自分のグラスに注がれたビールを一気飲み干す。


「ちょっと部長、あんまりハイピッチで飲まないでよ。この間みたいに奥さんに迎えに来て貰うことになったら申し訳ないから」


高本さんの声に振り向き、部長と呼ばれた男性が言い返した。


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