幾久しく、君を想って。
なんだ…と呆れる。
大人らしいとか言うから、あれこれ考えてしまったじゃない。


「はい、いいですよ」


それなら気構えなくても大丈夫そうだ。
大人らしく落ち着いて話そうというだけみたい。


「それじゃ」


別れの言葉を切り出され、これで終わり?と思う。


「…お、おやすみなさい」


ハッとしながらも首を項垂れる。
何となくだけど今、もう少し話していたいような気分がしていた。



(バカだ私…何を考えてるの…)


「おやすみなさい。また日曜日に」


「はい。ではまた」


通話を自分から切った。

途切れるのが惜しいくらい、後を引かれそうになっている。


どうかしている。

約束をしただけで、心が浮き立ちそうになるなんて。




(…少し落ち着かないと…)



拓海以外の相手と出掛けるのが夢みたいな気がする。
胸の鼓動が高ぶっているようで、ずっと鳴りっぱなしで仕方ない。


お湯を沸かしてハーブティーでも飲んで寝よう。
ゆっくりと心を落ち着けてからにするんだ。


……そう思いながらジンジャーレモンティーを飲んでベッドに潜り込んだ。

なかなか寝付けずに、浅い眠りのままで朝を迎えたーー。


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