幾久しく、君を想って。
「ねぇ、そうでしょ?」


その「ねぇ、そうでしょ?」は「独身じゃないわよね」の意味だろうか。


「えーと、はい、まぁ、何と言うかですね…」


独身と言えば確かにそうなんだけど、それをすんなりと認めてもいい立場でもない気がする。



「なぁに?宮野さんを虐めてんの〜?」


お世話係のような金本さんが加わってきた。
既に目が座っている状態で、完全に体の力が抜けきっている。


「虐めてなんてないわよー」

「独身かと聞いてただけですよぉ」


左側にいる男女が言い返し、それを聞いた高本さんが私の背中から肩越しに腕を回して、おんぶのような状態でくっ付いてくる。



「それを聞いたらダメでしょ〜が!彼女にはいろいろとあるのよ〜!」


いや、それを言われたら余計にダメ出しをしたくなるような気もするんだけど。


「宮野さんには〜、たくみ君ていう大事な彼がいるの〜!」

「あ、あの、高本さんっ…」


拓海は彼氏ではないよ。


「何だぁ。既にツバが付いてんのか〜」

「半既婚者なのねー」


「えっ…いや、違う…」


んですよ…と言ったところで、誰がまともに判断できるかどうかは謎な感じだ。


(もういいや。そういうことにしておこう)


どうせ独身だと言ってもバツが付いてる訳だしな…と諦める。

コブが一人いるというだけでも、女子としての評価は低い。


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