幾久しく、君を想って。
(ふふふ)


美味しそうに焼き上がったチョコブラウニーを頭の中で空想しながら一人で楽しんでいる。

沢山作って拓海にもあげようと決め、早々にベッドへと潜り込んだ。


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翌日、午後二時が近づいてくるにつれ、ドキンドキン…と心臓が脈を打ちだす。

日曜日に会ったばかりの人は、今日はどんな顔をしてドアを開けるのだろうか。


ブロロロ…とエンジン音が響いてきて、トラックが駐車場内に入ってくる様子が伺えた。

ピーピー…とバックする注意音が聞こえ、パントリーに続くドアの辺りで止まる。


パン!とドアの閉める音が耳に入り、緊張感がマックスに達した。



「こんにちはー!COーOPでーす!」


いつもの様に元気のいい声がドアを開けた瞬間から響き渡り、驚いたのと同時にガタン!と椅子から立ち上がっていた。



「こ、こんにちは」


ドキドキしながら声をかける。
いつもと同じことなのに、今日は何だか違う気がしている。


「こんにちは。寒いですね」


松永さんは変わらない感じで声をかけてくるのに、受け取る私は何処か舞い上がっていて。


「ほ、本当に。…そうですね」


意識しないでおこうと思っていないと、声が上ずるようで仕方ない。


「皆を呼んできますから」


彼の前を通り過ぎる時が一番緊張した。

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