幾久しく、君を想って。
こんな感じに…とタイトルが付けられ、二、三枚の写真が送られてきた。
そこにはきれいに出来上がったオムライスや魚料理が並んでいる。


『びっくりする程お上手ですね』


何度かメールを交換しながら、面倒だからLINEに変えようということになり、この最近では直ぐにメッセージを送ったり、送り返す習慣が付いてしまった。


彼との話は日々の雑談というのが殆どで、お互いの近況報告みたいな気配も漂っている。

離婚の原因も話せていないし、聞かない。

ご両親はいると聞いたが、他の家族状況については聞けず、こっちは拓海のことでいろいろと迷うと相談もしたいけれど、それをするべき相手ではないと考える。


奥歯に物が挟まった様な関係。
友達と言うか、それよりも少し親しい感じがする。


そんな人と顔を合わせるのは生協の配達日のみ。
職場のドアを開け、最初に少し顔を見合わせる。

いつも「寒いですね」と声がかけられ、「今夜また」で終わる。

まるで一緒に住んでいるみたいに、「おはよう」から「おやすみ」までを言い合ってる様な感覚に襲われる。


こんな感じの関係になるとは思ってもおらず、困ったな…と悩む。

あの映画を観て以来、一緒に出掛けることもしないけれど、彼を身近に感じている。




『来週の部会には参加します』


夜になり、そうメッセージを送った。


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