切手に想いを添えて
この場から早く立ち去りたくて、言われた料金分の切手を渡し、控えを貰って足早に郵便局を出た。





なんか、もう、この郵便局来辛いな…
次から別の郵便局行こう…





と思った矢先、目に入ったのは段ボールを積んだキャリーカートを引きずるもんぺ姿のおばあさん…


段ボールには、さっきまで私が持っていた物と同じ宛名ラベルが貼られている。


この郵便局に荷物を出しに来たのは一目瞭然で…


おばあさんはスロープを登ろうとするが、荷物が重いのだろう。なかなか前に進まない。





「………。」






私は郵便局とおばあさんを見比べて…






「あぁ…私ってホント損な性格してる…」

誰に言うでもなく呟いて肩を落とした。






「あの、良かったら荷物運びますよ。」


「まぁ、ご親切にありがとね~
でも、これ結構重いのよ?」




顔を上げたおばあさんは、どことなく気品を感じる面立ちをしていた。




「大丈夫ですよ。これでも力持ちですから。」




バッグをまるでダンベルを上げるように持ってアピールすれ、おばあさんは手を軽く口にあててふふふと笑った。


笑い方もどこか上品だ。



「じゃあ、お願いできるかしら。」



「はい!任せて下さい!」







そう意気込んで荷物に手をかけたが…







お、重っ!

何入ってるのこれ!





チラッと宛名ラベルの品名欄を見てみると達筆な字体で一文字…

『米』と書かれていた…





米って!

軽く30㎏はあるでしょ!これ!

おばあちゃん!こんなの一人で運んでたら腰ケガしちゃうから!





「お嬢さん、大丈夫?無理しないでね。」


「だ、大丈夫です…」


必死なのを悟られないように涼しい声で答えるが、隠せたかは定かではない…


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