切手に想いを添えて
入り口を通り、来局を知らせるチャイムが鳴ると同時に「いらっしゃいませー」とイケメンさんの声に迎えられた。



きっと、反射的に言われたのだろう…



荷物を置き、先程と同じ大量の手紙から顔を上げたイケメンさんと目があった瞬間、イケメンさんの動きが一瞬止まった。





気まずい…





「荷物お願いします…」


「はい、お預かりします…」



ホント気まずい…




「けー君、それ私の荷物なの。
忙しそうだから後でやってもらって構わないわ。
座って待ってるから終わったら呼んで。」



おばあさんが横から顔を出し、この気まずい空気を割ってくれた。



「秋山さん、いつもありがとうございます。」



「いいのよー、今日は時間があるから。」





荷物も運び終わったし、さっさと帰ろう…


おばあさんに向き直り「じゃあ…私はこれで…」と立ち去ろうとしたが…


「お嬢さん、ありがとねー。本当助かったわー。良かったらこれ貰って!少しだけどお礼に。」


おばあさんはバックから取り出した物を、はい、はい、と私の両手に次から次へと乗せていく。


あっと言う間に両手は蜜柑でいっぱになった。





「こんなにいっぱい…
逆に気を使わせてしまったみたいですみません。」



「いいのよーお礼なんだから。
あっ、そうだ!」



話している途中で何かを思い出したようで、おばあさんはバッグから何かを探し、けー君と呼んだイケメンさんに声を掛けた。



「今日も切手で払うわね。」




その手には唐草模様の布が貼られたアルバム…




「あっ…」




私のと同じアルバムだ。
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