切手に想いを添えて
「あらやだ、もう見つかってしまったわ。」
どうやら知り合いだったらしく、イタズラが見つかってしまった子供のようにおばあさんはばつが悪い様子だった。
「"見つかってしまったわ"、じゃありませんよ。
早くお戻り下さい。竹倉様がお見えです。」
「アポなしで来る人が悪いのよ。少しくらい待たせておけばいいわ。」
「僭越ながら…それは、千鶴様が予定があると偽って散々断っていらっしゃったせいかと。
それがなければあちらも強行手段に出られなかったと思われますが。」
「はいはい、どうせ私が悪いのよ。
隠居同然の老いぼれに仕事の話を持ってくる人よりどうせ私が悪いのよね~」
おばあさんが今度は拗ねた子供のように大袈裟に言っても、執事さんもまるでいつものことと言わんばかりに大仰な態度で「分かっていただけたようでしたら、お急ぎ下さい。」と外へ急かす。
折れたのはおばあさんの方で、深い溜め息を吐くと私の方に振り向いた。
「もっとお話ししたかったのだけれどもう行かないと…
久枝さんのお孫さんとお話し出来てとても嬉しかったわ。」
「私もです。
それに、大好きな祖母の話が出来て嬉しかったです。」
おばあさんはそれを聞いてにっこり微笑んだ。
「良かったらまたお話しましょ。
これ私の名刺、近くにお越しになった時は是非立ち寄って頂戴。あなたならいつでも大歓迎よ。」と、おばあさんは名刺を差し出した。
「勿論アポなしで大歓迎だから。」と、意味ありげに執事さんに視線を送って。
おばあさんが帰るのを見送ってから名刺を見ると、そこには…
『株式会社秋山ファーム
会長 秋山千鶴』
と、記されていた。
秋山ファームって、芸能人やセレブ御用達の無農薬野菜専門の会社じゃん!
度々テレビで特集組まれたり、雑誌でも良く見かけるずば抜けた知名度を誇る会社だ…
本社はここら辺にあるとは聞いてたけど…
まさかあの人が会長さんだとは露知らず…
お祖母ちゃん、凄い人と知り合いだったんだな~
まぁ、もう会うことはないと思うけど折角の縁だし名刺はとっておこうー
名刺をバックに仕舞い、私も郵便局を後にした。
どうやら知り合いだったらしく、イタズラが見つかってしまった子供のようにおばあさんはばつが悪い様子だった。
「"見つかってしまったわ"、じゃありませんよ。
早くお戻り下さい。竹倉様がお見えです。」
「アポなしで来る人が悪いのよ。少しくらい待たせておけばいいわ。」
「僭越ながら…それは、千鶴様が予定があると偽って散々断っていらっしゃったせいかと。
それがなければあちらも強行手段に出られなかったと思われますが。」
「はいはい、どうせ私が悪いのよ。
隠居同然の老いぼれに仕事の話を持ってくる人よりどうせ私が悪いのよね~」
おばあさんが今度は拗ねた子供のように大袈裟に言っても、執事さんもまるでいつものことと言わんばかりに大仰な態度で「分かっていただけたようでしたら、お急ぎ下さい。」と外へ急かす。
折れたのはおばあさんの方で、深い溜め息を吐くと私の方に振り向いた。
「もっとお話ししたかったのだけれどもう行かないと…
久枝さんのお孫さんとお話し出来てとても嬉しかったわ。」
「私もです。
それに、大好きな祖母の話が出来て嬉しかったです。」
おばあさんはそれを聞いてにっこり微笑んだ。
「良かったらまたお話しましょ。
これ私の名刺、近くにお越しになった時は是非立ち寄って頂戴。あなたならいつでも大歓迎よ。」と、おばあさんは名刺を差し出した。
「勿論アポなしで大歓迎だから。」と、意味ありげに執事さんに視線を送って。
おばあさんが帰るのを見送ってから名刺を見ると、そこには…
『株式会社秋山ファーム
会長 秋山千鶴』
と、記されていた。
秋山ファームって、芸能人やセレブ御用達の無農薬野菜専門の会社じゃん!
度々テレビで特集組まれたり、雑誌でも良く見かけるずば抜けた知名度を誇る会社だ…
本社はここら辺にあるとは聞いてたけど…
まさかあの人が会長さんだとは露知らず…
お祖母ちゃん、凄い人と知り合いだったんだな~
まぁ、もう会うことはないと思うけど折角の縁だし名刺はとっておこうー
名刺をバックに仕舞い、私も郵便局を後にした。