切手に想いを添えて
その手紙にはお祖母ちゃんの淡い気持ちが書かれていた。



大好きなお祖父ちゃんとは別の、初恋の人に宛てたものだ…




会長さんから聞いた時の初恋の話はキラキラしていてお伽噺話みたいだったけど…

この手紙を読んだ今は…複雑だ…




初恋の話は女学校時代で、勿論お祖父ちゃんとお見合いをする前の話なんだから、浮気ってわけじゃないんだけど…



孫としては凄く複雑だ…




そりゃあ、私だって今まで好きな人が出来ては失恋したり、その人以上に好きな人が現れたり、その人と思いを違えては色んな理由でまた好きな人が出来て…

一人をずっと好きだったわけじゃないし…

分かっているのに…

だけど、読まなければ良かったとさえ思う…

心がもやもやする…




そして…

お祖父ちゃんに対することとは別のもやもやもあって…

私はもう一度、手紙に視線を移した。






お祖母ちゃんが、この人を凄く好きだったことが伝わったくる手紙…

お祖母ちゃんはこの手紙で初恋の人とどうこうなりたいというわけではなく、ただ、気持ちを伝えたかったようだ。

淡い恋を終わらせるために…





どうしても断れないお見合いがあったらしい…

お見合いと言っても、こちらがどう思おうが相手が自分を気に入れば結婚せざるを得ない、理不尽なものだった。

しかも、お見合いを持ちかけてきた人が言うには、相手はお祖母ちゃんのことを見かけたことがあるらしく、憎からず思っているとのことで…

その方と結婚することになるだろう。

そんな内容が手紙に書いてあった。






このお見合い相手ってお祖父ちゃんだったのかな?

それはそれでまた複雑なんだけど…

てか…お祖母ちゃんのお父さん、私から見たら曾お祖父ちゃんは、何か弱味でも握られていたんだろうか?

そうじゃなきゃこんな強引な話を持ち込まれることもない気がするんだけど…






そんな強引なお見合いを前に、お祖母ちゃんはこの手紙を渡すことを決めたみたいだけど…

この手紙がここにあると言うことは、結局渡さなかった…又は渡すことが出来なかったのだろう。

まぁ、渡さなくて良かったと思う…



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