切手に想いを添えて
「その笹垣さん、蓬屋さんの先々代の店主で、久枝さんのお父様がとてもお世話になった方なの。
命の恩人と言っても過言ではないそうよ。
そんな方が郵便局で久枝さんを見かけてね、このお見合いを持ってきたの。」
あのお菓子屋がお祖母ちゃんの初恋を踏みにじったのかーーーーー‼‼!
「この手紙にも書いてあったけれど、そんな人からの話じゃ無下にも出来ないでしょ?
だから久枝さんはこの手紙を書いて渡したの。
でも、久枝さんはこの手紙を渡してどうこうなりたかったわけじゃ決してないの。
気持ちを立ち切るためだった。
気持ちを整理した手紙…あの場合、想いをを封じた手紙と言った方がぴったりね。」
「私も、この手紙には祖母の想いが封じてあると思いました。」
千鶴さんは少し悲しそうに笑った。
「とても悲しい手紙よね…
久枝さんは、それを渡すことによってもうその気持ちが戻ってこないようにしたかった。
悲しい話だけれど、私はとても素敵な行為だと思ったわ。
今の若い人は少し怖く思うかしら?」
「私も素敵だと思いますけど、捉え方によっては少し怖いかもしれませんね…
気持ちが重いっていうか…」
「確かに理解されにくい行為ね。
どこか儀式的でもある。
だけど、時にはそういうことも大事なのよ。
気持ちって必ずしも自分の意思でどうこう出来るものじゃないでしょ?」
「でも気持ちを封じるだけなら、手紙をその人に渡さなくてもいいんじゃないでしょうか?
千鶴さんでも良かったんじゃ…」
「乙女心は複雑なのよ。
人生最初で最後の恋だもの。誰かに覚えていてほしかったのよ。その誰かは誰でもなく好きな人であってほしかった。
密子さんも手紙を初恋の人に持っていてほしかったのは、そう思ったからじゃない?」
「はい…
でも、少しくらいは期待を込めてたってことはないんでしょうか?
手紙を渡しただけで簡単に立ち切れるものでしょうか?」
「簡単ではないでしょうね…
でも、久枝さんってそういうことが出来てしまうのよ…
凄く強い女性だった…
だから期待なんてしてなかった筈よ。
この切手からも気持ちが分かるわ…
下に貼ってある朝顔の切手…
密子さんは朝顔の花言葉をご存知?」
命の恩人と言っても過言ではないそうよ。
そんな方が郵便局で久枝さんを見かけてね、このお見合いを持ってきたの。」
あのお菓子屋がお祖母ちゃんの初恋を踏みにじったのかーーーーー‼‼!
「この手紙にも書いてあったけれど、そんな人からの話じゃ無下にも出来ないでしょ?
だから久枝さんはこの手紙を書いて渡したの。
でも、久枝さんはこの手紙を渡してどうこうなりたかったわけじゃ決してないの。
気持ちを立ち切るためだった。
気持ちを整理した手紙…あの場合、想いをを封じた手紙と言った方がぴったりね。」
「私も、この手紙には祖母の想いが封じてあると思いました。」
千鶴さんは少し悲しそうに笑った。
「とても悲しい手紙よね…
久枝さんは、それを渡すことによってもうその気持ちが戻ってこないようにしたかった。
悲しい話だけれど、私はとても素敵な行為だと思ったわ。
今の若い人は少し怖く思うかしら?」
「私も素敵だと思いますけど、捉え方によっては少し怖いかもしれませんね…
気持ちが重いっていうか…」
「確かに理解されにくい行為ね。
どこか儀式的でもある。
だけど、時にはそういうことも大事なのよ。
気持ちって必ずしも自分の意思でどうこう出来るものじゃないでしょ?」
「でも気持ちを封じるだけなら、手紙をその人に渡さなくてもいいんじゃないでしょうか?
千鶴さんでも良かったんじゃ…」
「乙女心は複雑なのよ。
人生最初で最後の恋だもの。誰かに覚えていてほしかったのよ。その誰かは誰でもなく好きな人であってほしかった。
密子さんも手紙を初恋の人に持っていてほしかったのは、そう思ったからじゃない?」
「はい…
でも、少しくらいは期待を込めてたってことはないんでしょうか?
手紙を渡しただけで簡単に立ち切れるものでしょうか?」
「簡単ではないでしょうね…
でも、久枝さんってそういうことが出来てしまうのよ…
凄く強い女性だった…
だから期待なんてしてなかった筈よ。
この切手からも気持ちが分かるわ…
下に貼ってある朝顔の切手…
密子さんは朝顔の花言葉をご存知?」