切手に想いを添えて
何にそんなに釘付けになったのか…



「 ! 」



もしかして、名前薄かったのがだめだった!?
これギリギリだめかも?とか思ってます!?




「す、すみません!字、薄かったですよね!?」



「あっ、いえ!素敵なお名前だなと思いまして…」




名前ですか?

素敵な名前なんて初めて言われた…

しかも、こんなイケメンさんに言われて…

なんがか、照れるんですけど…






「郵便の創業者と同じ名前なんですよ。」




………ん?





「同じ読み方かは分かりませんが、郵便の創始者、前島密(マエジマヒソカ)って言うですよ~」





マエジマヒソカ?





「あっ、あの!前島密子です!すみません!インクが薄くなって!子が見えなくて!それで!あの!」



何故か変に焦ってテンパってしまい…

 

「えっ、あっ、すみません!」




それが伝染したように、お兄さんもテンパり出した。




「あらあら、本当~前島密って読めるわね~」

「あら、やだ、読めるわね~」



テンパっているお兄さんの後ろからおばちゃんの社員さん二人が来て、この一部の空間が一気に騒がしくなった。


「"子"書いときますね…」


盛り上がるおばちゃん達を他所に、少し赤らんだお兄さんがペンを胸のポケットから取り出した。


「すみません…お願いします…」




凄く恥ずかしい…

お祖父ちゃんがつけてくれた『密子』という名前…
嫌ではなかったが、少し嫌いになりそうだ…

それ程までに恥ずかしい…

お兄さんにも凄く申し訳ない思いでいっぱいだ…

早く帰りたい…



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