3センチHERO
3人だけの秘密のように感じて、少しだけほおが緩む。
「そっか、さすが親友だね」
「そんなんじゃないよ」
「…でも、彼女のあたしにも教えてくれないなんて、よほど深刻なのかなあ」
彼女…!?
初めて耳にしたその言葉に、私は思わず耳を疑った。
三枝くんに恋人がいたなんて。
それが鈴村さんだったなんて。
その時ふと、数日前のテニス部部室での逢坂くんの言葉が頭をよぎる。
『香澄(カスミ)っていう…』
言いかけてたあれに続くのは、一体なんだったんだろう。
それを三枝くんが私に必死に隠したのは、どうしてなんだろう。
楽しい会話の中、私は1人でずっと考えていた。